HENSHIN by KAMEN RIDER

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yurinasiaスペシャルインタビュー

彼女が「変身」を解除するとき。



yurinasiaスペシャルインタビュー
彼女が「変身」を解除するとき。

福岡を拠点に活動する新進気鋭のダンサーyurinasia。15歳でダンスを始めた彼女は、高校に通いながらインストラクターとしても活動し、JAPAN DANCE DELIGHT vol.23のファイナリストをはじめ、数々のダンスバトルやコンテストでタイトルを獲得する実力派。

2018年から彼女がSNSで投稿し始めた、自身のダンススタジオ「jABBKLAB」でのクリエイティブな“レッスン動画”が話題となり、近年TVやMV、大手企業のCM出演や振付師に抜擢されるなど、目覚ましい活躍を見せている。

そんな彼女が住むのは、生まれ故郷である福岡の田舎町。夫でダンサー・映像クリエイターのayumuguguと、近くの公民館を借りてダンススタジオを運営しながら、二児の母として子育てにも奮闘する。

都市と地方、仕事と暮らし。さまざまな境界を行き来し、いくつもの顔に「変身」しながらも「自分らしさ」を貫き前進していくyurinasiaの姿は、さまざまな境遇のもとで夢を追いかけるすべての人に勇気を与える、ヒーローそのもの。

見るものを一瞬で引きつける彼女の深遠なる眼差しの向こうには、いったいどんな景色が広がっているのか。その答えを探るべく、彼女のホームである福岡のスタジオを訪れて敢行したインタビュー。ぜひ最後まで、お楽しみください。

 

『HENSHIN by KAMEN RIDER』とは
“変身!”というキャッチフレーズで知られる、仮面ライダー作品。その場のなりゆきや外的要因により戦う宿命を背負わされる主人公たち。
彼らが不安や葛藤、挫折を味わいながら、次第に自分の中で覚悟を固めていく内面の変化こそ、仮面ライダー作品が持つ"タイムレスな価値"と捉え、 服に袖を通す日常の過程で少しずつ自分をアップデートできる服を目指し、ファッションという切り口で「仮面ライダー」を再解釈・デザインするファッションブランド。




“鏡じゃなくてガラスで練習したり、今あるものだけで勝負したり。自分はストリートで育ってきた感覚が強いんです。”

―今日は「HENSHIN」のスニーカーにぴったりの衣装で来ていただきありがとうございます。ライダーの新しいキャラクターみたいで素敵ですね。

何かの役で出演オファー来ないかなぁ(笑)この衣装は「jABBKLAB」の生徒だった子のお母さんにスタイリングしてもらったんですよ。彼女は地元で洋服屋さんをしていて、このアクセサリーも手作りなんです。

−今回は「HENSHIN」のキラーアイテムでもあるスニーカーの中から「仮面ライダーフォーゼ」をモチーフにしたモデルを着用していただきましたが、実際に履いてみた感想はいかがですか?

最初にお話をいただいた時は、どんなスニーカーなのか全く想像がつかなくて。でも実物を拝見したら、フォーゼのキャラクターがしっかり反映されたデザインだったので、仮面ライダー好きとしては、ちょっと嬉しかったですね。ハイカットだけど軽くて動きやすいし、女性でも抵抗なく履けると思います。モードな着こなしに合わせてもいいし、古着とミックスしてもカッコいいんじゃないかな。

―古着やリメイクを取り入れたファッションでも知られるyurinasiaさんですが、普段洋服やアクセサリーを選ぶときに大切にしていることはありますか?

特にこれじゃなきゃいけないというルールはなくて、強いて言えば自分に似合うものを選ぶってことくらい。ヴィンテージが好きなのは、父の影響です。古いものに新しいものを組み合わせるのは、自分にとっては自然なことですね。

―「HENSHIN」では、新たなストリートスタイルの提案として、服に袖を通す日常の過程で少しずつ自分の内面をアップデートできるようなファッションを目指しています。その上で、いろんな方の「ストリート感」をお聞きして、よりブランドを洗練させていきたいと考えているのですが、yurinasiaさんは「ストリート」という言葉から何をイメージしますか?

ストリートと言うと、今にもにおいがしてきそうな、泥臭いイメージがあるかな。やさぐれた感じと言うか。ダンスで言えば、バレエじゃなくてストリートダンス。より自由でオリジナルが強い。ストリートダンスって、鏡じゃなくてガラス越しに練習したりするじゃないですか。そういった、今あるものでだけで勝負するイメージ。私はストリートで育ってきた感覚が強いんです。だから、スタジオ育ちのダンサーたちが違って見える時があって。こんなこと言うと先輩ダンサーに怒られちゃうかもしれないけど(笑)。音楽なら、オーケストラとジャズくらい違うと思いますね。




“「好き」とか「なりたい」と思う気持ちって大事だし、大切にした方がいいと思う。”


―先ほど仮面ライダーが好きだと仰いましたが、好きになったきっかけがあればお聞きしたいです。

もともと父が大の仮面ライダー好きで、幼い頃から身近にあったし、結婚して子供ができてからは、夫や息子が好きなので、一緒に見るようになりました。映像クリエイターの夫は、初代仮面ライダーの変身シーンでベルトの風車がまわる映像を、自身の作品にもパロディ的に入れたりするくらい、原体験として刷り込まれているみたいです。

―ツイッターで拝見したんですが、ご家族で「仮面ライダーセイバー」のステージを観に行かれたそうで。

はい。泣きましたね、あれは。特に、歴代仮面ライダーの登場シーンで気がついたら涙が溢れていて、ふと隣を見たら夫も泣いていたという(笑)。セイバーは、東京スカパラダイスオーケストラが手掛けている音楽もいいんですよね。番組内で流れていた音楽がステージでも使われていて、感極まってしまいました。

―仮面ライダーの魅力ってどういうところにあると思いますか?

これは大人になってわかったことですが、子どもに見せるエンタメをつくる大人たちの本気が見えるところですね。番組づくりはもちろん、おもちゃひとつを取っても、これは子供が喜ぶだろうというポイントが押さえられていて、母親としてはありがたいですし、いつも感動しています。

―小さい頃に憧れたヒーローがいれば教えてください。

それ、仮面ライダーじゃなくても大丈夫ですか?


もちろん、大丈夫です(笑)

一応女の子なので、セーラームーンを見てかわいい洋服が着られていいなぁと思ったり、チャーリーズエンジェルとか、強い女性やかっこいい人に憧れましたね。スパイダーマンも好きで、いいなぁ男の子は、と思って見ていました。アーティストだと、マイケルジャクソン。よく真似して踊っていたし、幼心に、この人は唯一無二だと感じていて。声の出し方にしても、他の人には真似できないし、この人が何を踊っても「マイケルジャクソン」になるんだろうなと思っていました。小学生の頃、給食時間のリクエスト曲に「スリラー」を持って行ったら「え〜!誰がこんなの聴くん?」って馬鹿にされたりもしましたが、それでもやっぱり好きで、自分もこんな風になりたいと憧れていました。

―今はyurinasiaさんが、憧れの対象でもあると思いますが、なりたい自分になるために大切なことってなんだと思いますか?

「なりたい」と思う対象をたくさん知ることだと思います。たくさん知って、集めて、自分の引き出しの中に貯めていくこと。初めは、洋服やメイクを真似したりするところから始めてもいいと思います。「なりたい」と思ったら、とりあえず「なってみる」。真似をしても結局、自分は自分にしかなれないと思うし。「好き」とか「なりたい」と思う気持ちって大事だから、大切にした方がいいと思う。



“憧れはとにかく強いお母さん。やさしさも強さだし、弱さを見せない強さもある。私の母もそうでした。”

―人生が「変わった」と思う出来事があれば、教えてください。

それはやっぱり、出産ですね。私は22歳の時に結婚して一人目を出産しましたが、生む前から「出産を経験したら第二の人生が始まるな」と思っていて。すべてが変わるだろうと思ったし、実際に変わりました。

その中で変わらなかったこともあって、産む前に感じていた思いがさらに強くなったのには自分でも驚きました。ダンスバトルを例に出すと、産む前は子供を産んだら闘争心がなくなるだろうと思っていたんです。それが、守るものができて責任が発生してしてからは、勝つまでは帰れないとすら思うようになりました。二人目が生まれた今は、ずいぶん丸くなりましたが(笑)。


―「変わる」ことで「変わらないもの」が見つかるというのは面白いです。「変わる」と言っても全く違う何かになるわけじゃなくて、前からあったものが研ぎ澄まされるみたいなことなのかもしれません。子育てにおいて、理想としている母親像はありますか?

母親に理想は、いっぱいありますね。一緒に馬鹿なことをしたり、子供と同じ熱量で遊んだり。でも一番は、とにかく強い母親。やさしさも強さのひとつだと思うし。弱さ見せない強さもあると思う。とにかく強いお母さん。私の母もそうだったから。



“恥ずかしいことが恥ずかしくなくなる瞬間。それが変身するってことなのかも。”

―仮面ライダーの象徴的なワードでブランドネームでもある「変身」について、どんなことを思うか教えてください。

「変身」の“変”って「変わる」って意味もあるけど「変だ」って意味でもあるじゃないですか。例えば人前でいきなり踊り出すのって“変”なことだし、普通なら恥ずかしくてできないと思います。それが恥ずかしくなくなる瞬間があって。そういった、端から見たら“変”なことが“変”でなくなる瞬間が「変身」するってことかもしれないと思います。

―その瞬間が訪れる時、何かトリガーとなるものがあったらお聞きしたいです。

ダンスの場合は「音楽」ですね。ステージに立つ時、たいてい踊り出すまではめちゃくちゃ緊張しているんですよ。それでも音楽が流れた瞬間に、それまでの緊張が嘘みたいに消し飛んでいくんです。そこからはもう「作品」に入り込む。そのスピードや切り替えの速さには、自分でも驚きます。自分が踊っている姿を客観的に見て、別人みたいだなと思う時がありますね。

―「音楽」って、yurinasiaさんにとってどんな存在なのでしょう?

幼い頃から音楽好きの両親の元で良いものをたくさん聴かせてもらったし、歌ったり踊ったりするのも好きで、常に身近にある存在でした。3歳からジャズピアノを習っていたこともあって、一時は音楽の道に進みたいと思っていたくらいです。自分の中では、歌ったりピアノを弾いたりする高揚感と、踊ってる時の高揚感は同じベクトルですね。今もよく歌いながら踊ってるし。

―yurinasiaさんのダンスを拝見していて、いつも気になるのが目線なんですよ。こちらを見ているようで見ていないような不思議な眼差しで、目が離せなくなるんです。

踊っている時は常にここに何かありますね(と額を指差す)。目の奥の方に波長みたいなものが見えていて、波長じゃない時はスライムみたいなものが揺れています。体はこっち側で踊っているのに、思考は別の空間と繋がっていて、もうひとつの映像を見ているような。文字や音に色やにおいを感じたりする「共感覚」を持つ人がいるって言うじゃないですか。わたしはそのタイプなのかもしれません。聴いたことがない曲でも、コンマ数秒で次の展開が読めたりするんです。音楽とセッションしていてゾーンに入った時は、自分でつくった曲なんじゃないかと錯覚するくらい、作曲した人の気持ちが伝わってきます。気持ち良すぎて額が痒くなってくるくらい。特に、サックスとかドラムとのセッションは楽しくて、めちゃくちゃ興奮しますね。

 

“妥協と思わずに挑戦だと思うとカッコつくし「知らないyurinasiaが見れた」と思ってくれる人もいる。”

―最近では振付の仕事や演技を求められる仕事も増えていると聞いています。場所や所属や立場を超えて自由に活動されている姿が「HENSHIN」のテーマのひとつでもある「クロスオーバー」に通じるなと思っているのですが。

私は自分を表現するツールは、いくつあってもいいと思っているんですよね。武器はあればあるほどいいと言うか。いろんなことに挑戦してみて、その中から何かひとつに絞ってもいいし、諦めてもいい。「やってみんとわからんな」と思うから、生徒たちにもそう教えているし、教えられることもあります。

最近「jABBKLAB」のみんなで福岡のギャラリーを借りて個展を開いたんですよ。ダンサーがダンスをしない個展。コロナ禍で、たくさんの人を一度に集めて発表会ができないということもあって、ダンス以外の表現に挑戦するのも面白いんじゃないかと思って。私も絵を描いて発表したし、生徒たちにもいろいろ挑戦してもらいました。小学4年生の子にフィルムカメラを持たせて作品を撮らせてみたら、それがすごく良かったりして。そうやって、私や教室の仲間に刺激されて、絵をやってみようとか、音楽をやってみようとか、最終的にダンスを辞めて別の道に走ってもいいと思う。「jABBKLAB」の仲間は、ダンスだけで繋がっているわけじゃないし、人間として繋がってると思ってるから。


―仮面ライダーって、変身したら必ず、変身解除して戻ってくるところまでがセットなんですよ。闘いから帰ったら、元の自分よりも少しだけ成長しているんです。今の個展の話で思ったのですが、自分の枠から飛び出して何かに挑戦して帰ってきた時に、少しパワーアップしていた、みたいなことはありませんでしたか?

それはめちゃくちゃありますね。実際に今回の個展の後、目に見えてダンスが良くなった子がたくさんいました。多分人間力がアップするんですよ。成長って、その繰り返しだと思います。

―yurinasiaさん自身は、いま挑戦していることはありますか?

大きな挑戦ではないけど、ひとつひとつの仕事の現場で、小さな挑戦はしているつもりです。例えば、やったことのないスタイルの演技や踊りを求められた時に「私じゃなくて別の人に頼めばいいやん」なんて思わずに(笑)自分のやり方を変えることを「妥協」じゃなくて「挑戦」と思うようにするとか。そうするとカッコつくし「知らないyurinasiaが見れた」と思ってくれる人もいる。だから、挑戦することは大事だなと思いますね。

 



帰ってきたいときに帰ってくればいい。生徒たちにとってここが、そんな場所であったらいいなと思います。”

―福岡を拠点に、東京の大企業とも仕事をするなど、全国で活躍されていますが、それでも、ここを離れない理由は何ですか?

一番の理由は、生活がしやすいから。本当にそれが一番。東京に住んでいる方には申し訳ないけど、今でも東京に行くと歩くだけで緊張して肩が凝ってしまうんです。自分にとっては、ここが一番息がしやすいし場所だし、深呼吸できる場所なので。

確かに東京にいればもっとたくさんのオファーを受けることができるかもしれないけど、それに慣れたくないというのもあって。福岡にいる私と仕事をする場合、私が東京に行くか、来ていただくことになるので、オファーしてくださる方もハードルが高いと思うんです。だからこそ絶対に失敗できないし、ちゃんとかまさないとなって、プレッシャーが力になっています。それに、なかなか会えないレアキャラって、会えたときにすごい感動があるじゃないですか(笑)


―今まさに我々は、めちゃくちゃレアな体験をしてるってことですよね(笑)

私は福岡が大好きだから、勝手ながら宣伝して歩いているような気持ちもあって。福岡から来ましたって言うと、福岡っていいよねって言ってくれる人が多いし、自然とコミュニケーションが取れるんです。

―我々もこうして福岡に来る機会に恵まれましたし、yurinasiaさんが福岡と東京のハブになっているとも言えますね。以前、ダンスの振り付けをする際に、章と章の間にあえてフリーで踊る「ヌキ」をつくっておくと、振りを付けた部分に戻って来た時に、よりビシッと決まるんだという話をされていたと思います。飛躍した解釈かもしれませんが、福岡という「帰る場所」があるからこそ、東京などで思い切り力が出せるのかなと思ったのですが。

そうですね。帰る場所があるから、外で思い切り頑張れている部分はあると思います。でも、私がここでやっていくと決めているからと言って、生徒にまでその考えを植え付けたいとは思っていません。どこに行ったって活躍することはできると思うし、その可能性を潰したくはない。だけどもし、出て行っても帰ってきたくなったら「帰ってくればいいやん」と思うんです。なんかそういう、帰って来れる場所や、根っことなるものがあった方がいいし、生徒たちにとってここが、そんな場所であったらいいなと思いますね。

文:いわくまみちこ

 

〈yurinasia-ユリナジア-・Profile〉
1992年生まれ。福岡県在住のダンサー・ダンスインストラクター・コレオグラファー。 JAPAN DANCE DELIGHT vol.23 FINALIST他、数々の受賞歴を持つ。 夫でブレイクダンサーのayumuguguと共に、ダンススクールjABBKLAB(ジャブクラブ)を運営。 毎週末、SNSに投稿されるスクールの”レッスン動画”が話題を呼び、国内外で話題となる。 TV ・MV・大手企業CMの出演や振り付け、全国各地でのワークショップやイベント出演など、活動の幅を広げている。

 


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